大統領選挙2020 : 3部で伝えるデータストーリー

私たちのネットワークの幅とトラフィック量は、グローバルな時代の流れへのポータルとしての役割を果たしており、このポータルを通じて、世界中がインターネットに接続して一種の集団体験を共有する瞬間を観察することができます。しかし、スーパーボールブラックフライデーとは異なり、2020年の米国大統領選挙を「瞬間」と呼ぶことはできません。実際、2020年の大統領選挙報道は選挙日当日の数ヶ月前から始まり、終了後も継続しています。

終わりが見えない大統領選挙関連の報道に疲れを感じている人も少なくないと思いますが、別の視点から見てみるのも面白いかもしれません。2020年の大統領選挙シーズン中のネットワークトラフィックを分析することで、人々の行動に集団的シフトの傾向が見えてきます。例えば、常に最新の選挙戦情報を得ようと、ソーシャルメディアに「張り付いて」更新ボタンを押し続ける、というような傾向です。9月から10月にかけて開催された大統領選討論会における Fastly のデジタル出版企業のネットワークトラフィック、選挙日当日から当選者予想までの時間、そして主要ネットワークが当選者を確定報道した瞬間などを見てみましょう。

1 : 大統領選討論会

第1回大統領選討論会、グローバルデジタル出版チャート

私たちのストーリーは、9月に始まりました。ニュースメディア系企業のお客様と私たちのミッションコントロールチームは、第1回大統領選討論会の準備をしていました。9月29日に行われた討論会では、グローバルデジタル出版企業における1秒あたりのリクエスト数 (RPS)* は、前の週と比較して176%増加しました。

第2回大統領選討論会、グローバルデジタル出版チャート

断言はできませんが、10月22日の第2回大統領選討論会までに、ある程度関心が薄れたのではないかと推測できます。それでもまだ上昇傾向にあり、グローバルデジタル出版企業全体の RPS は前の週に比べると49%の増加が見られましたが、第1回目の討論会よりは大幅に減少していました。

新たに更新された討論会ルールがどのように適用されるのか、興味津々の視聴者はいたかもしれませんが、それでも、第1回討論会で観測されたようなピークトラフィックレベルにはリーチしませんでした。第2回討論会では、第1回目の9月29日と比較して、ネットワーク全体のトラフィックピークが18%減少しました。

2 : 選挙日が選挙「週間」に

大統領選挙ウィーク、グローバルデジタル出版チャート

2016年の選挙結果は、投票終了から24時間以内に決定されました。これは米国の伝統であり、例外はほとんどありません。しかし、今年は選挙日が日ではなく選挙週間となり、11月3日から7日まで実施されました。新型コロナウイルスの影響誰もが今年の春先から携帯やノート型パソコンに釘付けになり、すべてがオンラインに移行させられたこともあり、この選挙では特に高いトラフィックが観察されました。 

当然のことながら、激戦区である州の投票結果が発表された時には、さらにトラフィックが急増しました。投票が終了し、主要ネットワークが当選者予想を発表するまでの間、グローバルデジタル出版企業における RPS は前週に比べて406%急増しました。スパイクが発生したのは以下のタイミングでした。

3 : ネットワークとニュースサイトが、選挙人投票でジョーバイデン氏当選を発表

11月7日の当選者予想、グローバルデジタル出版チャート

Fastly ネットワークによると、2020年の大統領選期間中に最もトラフィックが多かった瞬間の1つは、選挙人投票でジョー・バイデン候補当選の発表があった直後でした。その瞬間、グローバルデジタル出版の企業の RPS は、前週比で440%増加しました。

最も記憶 (ミーム)残った瞬間

当選者予想、ミーム化チャート

選挙結果が確定するまでの数日間、人々は長引く選挙への思いを表現する方法を探し求め、世界中の多くの人が GIF 画像に救いを見出しました。GIF やミームの作成サービスを提供する企業は、前週比で27%の RPS 増加を経験しました。まさに、2020年の大統領選で最も記憶 (ミーム) に残る瞬間の1つだったことを示す有力な証拠です。

現代の米国を悩ませる分断の問題はさておき、私たちがこの重要な瞬間をオンラインで共有していた、ということだけは確かです。

これらのデータから、世界中の人々が重要な情報にアクセスするため、毎日何時間も (時間帯に関わらず) インターネットに依存し利用していることが分かります。インターネットは、私たちがさまざまな経験を消費し共有する上で中心的な役割を果たしており、今回の選挙は、そのような依存関係を顕著に現した好例と言えます。

*RRPS は Fastly のネットワークへの1秒あたりのコンテンツリクエスト数を表します。

David Belson
Data Insights、Sr. Director
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David Belson
Data Insights、Sr. Director

David Belson は、Fastly の Senior Director of Data Insights として、計画的または機会に応じたデータ主導のストーリー作成を統括し、組織全体を通じてこれらのデータインサイトをお客様とオープンソースコミュニティのために活かせるように尽力しています。David は25年以上に渡り、Internet Society、Oracle の Internet Intelligence チーム、Akamai Technologies などの組織で同様の任務を歴任し、同分野のプログラムを実施してきた経験があります。

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