優れた SaaS/PaaS プラットフォームには、顧客満足を通じて市場に浸透し、シェアを維持していく力があります。一方で、SaaS/PaaS エクスペリエンスの質が低いと、ブランドイメージが損なわれ、顧客離れを招く可能性があります。
そんなカスタマーエクスペリエンスの中核にあるのがパフォーマンスです。パフォーマンスはプロダクトやサービスの採用、継続利用、市場シェア、そしてブランドに対する信頼感に影響します。SaaS/PaaS 企業が、高速で安全性が高くレジリエントな Web エクスペリエンスを実現するために必要なスケール、セキュリティ、配信を確保しようとする場合、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) がなければ、それらの確保は難しいものになるでしょう。しかし、SaaS/PaaS プラットフォームの要件を考えれば、それらをサポートするという点ですべての CDN が同等とはいえません。
本ブログでは、SaaS/PaaS 企業が CDN を選定する際に考慮すべき点について解説します。
競争と PLG によって引き上げられる必須要件
SaaS/PaaS プロバイダー間の競争は激化しています。SaaS/PaaS プラットフォームにおいては、顧客をサポートするだけでなく顧客の導入を促進できるかどうかが、プロダクト主導の成長 (PLG) の鍵となっています。
ほとんどの SaaS/PaaS 企業は、CDN ソリューションを活用してコンテンツを配信し、グローバルキャッシュによってスタックの効率性を確保し、WAF 技術を通じてプラットフォームへのアクセスを保護しています。このような CDN の特質は、SaaS/PaaS プラットフォームにとって必須要件となっています。
現代の SaaS/PaaS プラットフォームが CDN に求めるもの
それぞれの分野でトップの座を争う多種多様な SaaS/PaaS プラットフォーム。それらをサポートするという点で、すべての CDN が同等というわけではありません。
現代の SaaS/PaaS プロバイダーにとって CDN に必要なものを以下に示します。
Web アセット配信のためのグローバルプレゼンス、および変動する API コールおよびレスポンスの容量に対応でき、レイテンシを最適化し、総保有コストを削減できる柔軟なキャパシティ
CSS、JavaScript、画像、HTML などの Web アセットのキャッシュ、およびキャッシュからコンテンツを迅速かつ簡単にパージまたは無効化できる能力
エンドユーザーがオリジンに接続した場合、および他の CDN と比較した場合において、最大限のレイテンシの削減力
SaaS/PaaS の顧客および SaaS/PaaS のオリジンを悪意あるアクターから十分に保護できる、WAF ベースのセキュリティ。優れた WAF は誤検知の発生率が非常に低いため、エンドユーザーがスムーズに操作を完了でき、除外管理のための運用オーバーヘッドを削減できます。
さらにいえば、SaaS/PaaS プロバイダーは、選定した配信パートナー (CDN) が持つ拡張性と多用性を活用することで、配信、スケーリング、保護を行うだけでなく、カスタマーをサポートする機能を強化および補完することができます。

Fastly によるエッジでの SaaS/PaaS 機能の拡張
Fastly は地球上で最も大規模で拡張性に優れたエッジネットワークを提供しています (執筆時点の2026年4月で 532 Tbps)。このプラットフォームはサーバーおよびネットワークアーキテクチャに独自のアプローチを提供し、CDN の特長ともいえる効率性に関する目標の達成を可能にしています。さらに、SaaS/PaaS プロバイダーは CDN レイヤーを活用して独自の新しい機能を顧客に提供し、競争において非常に有利な状況を確立させることも可能です。
Fastly は「キャッシュエンジン」として Varnish を使用し、Varnish Configuration Language を顧客に公開することで、独自のカスタムリクエスト/レスポンスダイナミクスを実装できるようにしています。SaaS/PaaS プロバイダーにとってこれは、エンドユーザーに応答性や反応性の高いインタラクションを提供するために、オリジンでリクエストを終了処理する必要がなくなることを意味します。さらに、ファーストパーティデータに非常に近いデータインサイトが Fastly から得られることも大きなメリットです。これこそが SaaS/PaaS アプリケーションのエッジへの拡張ということです。
現代のインターネットに合わせて構築
Fastly のサーバーおよびネットワークアーキテクチャは、現代のインターネットおよびグローバルネットワークトポロジーに合わせて構築されています。POP の配置においては、リバースプロキシ (すべての CDN はリバースプロキシです) として、あらゆる場所に小規模な POP を配置するより、短期間で多くのリクエストの変動が発生する戦略的な場所に非常に大規模な POP を配置する方が優れています。これにより、独自のサーバーアーキテクチャによって高いキャッシュ密度が達成されるため、キャッシュのウォームアップが迅速化し、キャッシュからのコンテンツの押し出しが起こりにくくなります。また Fastly では、グローバルキャッシュを95パーセンタイルで150ミリ秒以内にパージまたは無効化できるため、API を多用する SaaS/PaaS プラットフォームで可能な限り多くのキャッシュを行うことができます。キャッシュのパージまたは無効化を容易にするため、Fastly はオペレーターにいくつかのパージメソッド (API ベースのパージを含む) を提供しています。
レイテンシの最適化については、具体的にパフォーマンスの最大化を目指して基本設計原則を策定しています。キャッシュサーバーはすべて SSD ベースで、各ボックスに大容量の RAM を備えています。すべてのキャッシュノードには、SSD 用のカスタマー参照テーブル、TCP スタックの最適化、ネットワーク内へのルーター非設置、さらには Linux カーネルの書き換えといった数多くの「内部」最適化を施すことで、抜け漏れなくお客様の配信を高速化できるようにしています。ネットワーク面においては、オリジンへのキープアライブ接続を維持し、独自の TLS ネゴシエーションスタックを記述し、Tier 1 トランジットプロバイダーおよびピアリング契約による独自のネットワークを維持するとともに、ネットワークが「自己修復」および「自己最適化」を行えるよう強力なカスタムコードを実装しています。
セキュリティの再考:NG-WAF による誤検知の削減
すべての WAF (Fastly の NG-WAF を除く) は、正規表現マッチングを利用してキーワードを検出し、そのキーワードが含まれるリクエストをブロックします。これにより多数の誤検知が発生し、結果としてエンドユーザーのインタラクションまでもがブロックされてしまいます。その結果として、レガシー WAF ツールの運用者は除外作業やポリシー管理に追われることになってしまいます。
Fastly の WAF へのアプローチでは、Smartparse と呼ばれる独自の技術を使用することで、すべてのリクエストペイロードで字句解析を行えるようにしています。この解析で実行可能コードが検出された場合、Fastly はそれをブロックします。また Fastly は提案された軽減ポリシーをモニタリングする機能も提供しています。オペレーターはブロックモードやログモードにする必要はなく、シグナルを使用して提案された軽減ポリシーの有効性をテスト・監視することもできます。これにより、Fastly のオペレーターは強力なベースライン軽減戦略を持ち、必要な場合にのみ新しいセキュリティポリシーを追加することができます。
86% 以上の Fastly WAF のお客様が NG-WAF をブロックモードで使用しています。これが、Fastly が7年連続で Gartner Peer Insights の Security Customer Choice を受賞している大きな理由になっています。
ハイテク企業による迅速な拡張、パフォーマンスの高い配信、セキュリティの確保に Fastly がどのように貢献しているのか、ぜひご覧ください。


