AI コーディングエージェントを使って Fastly のサービスを設定したことがあるお客様は、エージェントが苦戦しているのをご覧になったことがあるのではないでしょうか。エージェントが架空の API エンドポイントを生成したり、CLIの適切なフラグを見つけるために十数回ターンを行ったり、コンパイルは問題ないものの、密かに猶予期間の検知が機能しなくなる VCL を作成したりといった経験はありませんか?AI モデルは過去のデータと Fastly 独自のパターンに基づいてトレーニングされますが、多くの場合、単に動作するコードと、適切に動作するコードの違いを生み出すようなパターンはその学習データには含まれていません。
私たちはこの問題について考えてきました。今年の初めに、AI エージェントが CLI 経由で Fastly にアクセスすることを可能にする Fastly MCP Server をリリースしました。これにより、「どのようにして Fastly に話しかけられるか」という問題は解決しました。しかし、ツールにアクセスできても、エージェントが必ずしも何をすべきかを知っているとは限らないという別の問題があります。
そこで本日、この問題を解決するために Fastly Agent Toolkit をリリースしました。
ツールだけではなくスキルが必要
Agent Toolkit は、AI エージェントのスキルを集めたオープンソースのコレクションです。これらの厳選されたナレッジファイルによって、コーディングエージェントは Fastly プラットフォームの操作方法を学ぶことができます。つまり、Fastly のシニア開発者の経験をエージェントに習得させるものとお考えください。
このツールキットには、6つのスキルが含まれます。
fastly - プラットフォームのコンセプト : サービス、キャッシュ、VCL、WAF、TLS、DDoS 対策、パージ、API の利用
fastly-cli - CLI のワークフロー : サービスの管理、Compute アプリのデプロイ、ログ記録の設定、KV ストアの操作
falco - VCL 開発 : リンティング、テスト、シミュレーション、フォーマット処理、Terraform 統合
xvcl - XVCL トランスパイラ : 構文拡張、サブルーチン、ヘッダー操作、キャッシュロジック
viceroy - Wasm ベースのランナーを使用する Compute のローカルテスト
fastlike - Go ベースのランナーを使用する Compute のローカルテスト
各スキルは、SKILL.md をエントリーポイントとする一連のマークダウンファイルと、詳細なトピックファイルを含む references/ ディレクトリで構成されています。スキルはオンデマンドで読み込まれ、エージェントは現在のタスクに関連する情報のみを取得するため、無駄なコンテキストは含まれません。
数字が示す明白な結果
私たちは、ただスキルを構築して、うまくいくように祈っていたわけではありません。実際の Fastly のタスクで7つのモデルを対象に行った内部テストでは、一貫して測定可能な改善が見られました。
結果は以下のとおりです。
実時間ベースで平均1.6倍の高速化
ツール呼び出しが30 - 70%減少
ベースラインとの直接比較ではスキルが8つのタスクのうち7つで優位
実際の使用では、次のようになります。特定のドメインからコンテンツをキャッシュしてデプロイする Fastly のサービスを設定するようにエージェントに依頼しました。スキルなしの場合、エージェントは25ターンに11分間を費やし、JSON 設定ファイルを読み、間違ったフラグの組み合わせを試し、手動でバージョンを管理しました。スキルありの場合は、fastly-cli を最初のターンで読み込み、適切なコマンドを見つけ、最初の試行で --autoclone を使用し、9ターン、3分未満でタスクを完了しました。つまり、4.1倍の速さ、約3分の1のターンでタスクを完了できたのです。
Fastly 固有の知識が最も重要となるポイントで、最大の改善が見られます。これには、Cookie を解析するための subfield() のような VCL パターン、猶予期間を検知するための obj.ttl == 0s、Vary ヘッダーの適切な処理、Compute サービスのための適切なデプロイシーケンスなどが含まれます。これらはまさに、モデルの学習データに含まれず、試行錯誤だけでは解決が難しいパターンです。
エージェントとの連携
スキルはオープン標準の Agent Skills に準拠し、マークダウンを読み取るあらゆるエージェントで動作します。Claude Code、Gemini CLI、Codex、Cursor、Amp、Cline、Kimi Code、OpenCode、Replit Agent、Warp など、多数のエージェントと連携し、その数は増え続けています。
60秒で使用開始
スキル CLI を使用して必要なスキルをインストールしてみましょう。
# Install into your project
npx skills add github:fastly/fastly-agent-toolkit --skill fastly-cli --skill viceroy
# Or install globally
npx skills add -g github:fastly/fastly-agent-toolkit --skill fastly-cli --skill viceroy Claude Code を使用する場合は、プラグインマーケットプレイスからインストールすることもできます。
claude plugin install fastly-agent-toolkit@claude-plugins-official または、スキルディレクトリを手動でコピーします。これらはプレーンテキスト形式のマークダウンファイルです。
mkdir -p .agents/skills
cp -R skills/{fastly-cli,viceroy} .agents/skills/ 業務に関連するスキルを選びます。VCL の場合は falco と xvcl を、Compute の場合は fastly-cli に加えて viceroy と fastlike のいずれかを選びます。fastly スキルはプラットフォームを幅広くカバーし、あらゆる機能とうまく連携します。
MCP + スキル = より優れた成果
すでに Fastly MCP Server をご利用の場合、スキルは非常に強力な補完機能となります。MCP によって、サービスの作成やキャッシュのパージ、コードのデプロイなどの作業をエージェントが行うことができるようになります。スキルは、適切に作業を行うために必要な知識をエージェントに与えます。これには、適切なパターンやフラグ、正しいオペレーションの順序などが含まれます。これらはすべて、あらゆるエッジプラットフォームで最良かつ最先端の開発体験を提供するという Fastly の取り組みを反映します。
コントリビューションを歓迎するオープンソース
このツールキットは、GitHub でオープンソースとして公開されています。スキルは、単なるマークダウンファイルです。読み取り・編集ができ、独自の内容を追加して貢献できます。Fastly でエージェントのパフォーマンスを向上させられるパターンを見つけた場合は、ぜひお知らせください。
フィードバックをお待ちしています。スキルを試し、Fastly プラットフォームでのエージェントの動作がどのように変わるかを確認して、ご意見をお聞かせください。また、うまくいった点やうまくいかなかった点、追加を希望するパターンやワークフローも教えてください。そして、得られた結果を、Fastly コミュニティフォーラムで共有してください。
私たちは、お客様が Fastly を実際にどのように使用しているかを測定し、テストした結果に基づいて、これらのスキルと、それに関連する開発者体験の継続的な改善に取り組んでいます。その一環として、Fastly で AI エージェントがこれまでよりもはるかに優れた能力を発揮できるようになりました。


