2016年第2四半期 - 第3四半期
ネットワーク容量の増加
Fastly のネットワーク容量は、毎月増加し続けています。シアトルの SIX エクスチェンジポイントにおけるピアリング容量の倍増、フランクフルトとニューヨークにおける DE-CIX の追加など、より多くのトランジットとピアリング容量をデプロイすることに取り組んできました。ネットワークの使用率は今四半期で16 %増加し、プライベート相互接続またはエクスチェンジファブリックを通じてピアに配信されたトラフィックの量が41 %増えました。
配信拠点 (POP) の強化
今四半期、ニューヨーク、アッシュバーン、サンノゼ、ロサンゼルス、シアトルなど、米国全土の主要 POP のキャッシュサーバーの容量を倍増しました。これらは Fastly で最大かつ最も多忙なキャッシュのデプロイが発生するロケーションであるため、これは Fastly のフリート全体の約25 %におよぶ大規模なアップグレードを意味しました。
また、8月にはドバイの POP の開設を発表しました。これにより、この地域の市場により低レイテンシで配信できるようになりました。今後も世界の新たな戦略拠点への拡張を継続します。
機能リリース
ユーザーインターフェイス
Ember をベースに構築された次世代の Fastly コントロールパネルを先日リリースしました。この新しいコントロールパネルにより、ナビゲーションが改善され、データをより簡単に解釈できるようになり、既存の設定により迅速にアクセスできます。既存のコントロールパネルの上部にあるバナーをクリックすることで有効にできます。また、docs-next.fastly.com に公開されているすべてのドキュメントは新しいコントロールパネルに対応しています。
ログ記録
新しいエンドポイント
SFTP、Loggly、Scalyr、Heroku に対する API のみのサポートを限定提供版 (Limited Availability) として追加しました。UI のサポートは、Google PubSub、BigQuery に対するサポートと共に近日中に提供されます。
ログ形式
ログ行の形式をより柔軟に設定できる新しい機能も発表しました。より強力なログ形式に対応する API のみのサポートを追加し、Syslog 形式のログ行のみがサポートされる制限も排除しました。これにより、CSV や JSON を適切に記述できるようになりました。
統計情報
Fastly の リアルタイム分析 API が正式に公開され、Fastly の統計情報をダッシュボードに統合できるようになりました。API クライアントの例やダッシュボードの構築に関するブログ記事など、詳細情報については近日中にお知らせします。
ビデオ配信
Fastly の OTFP サービスに以下の機能強化を追加しました。
MPEG-DASH デマルチプレクシング
Fastly は最近まで、インターリーブされた MPEG-DASH セグメントとして、1つのファイルのビデオとオーディオのトラックを一緒にパッケージ化していました。これは、Shaka Player などの DASH と互換性がある多くのビデオプレイヤーでは問題ありませんでしたが、一部のプレイヤーでは2つのトラックが個別のレプリゼンテーションにあることが求められます。ビデオとオーディオのトラックをデマルチプレクシング (多重分離)することで、人気のオープンソースの Dash.js プレイヤーやこのフレームワークを使用して構築されたその他のプレイヤーを含む、より幅広いブラウザやプレイヤーとの互換性が改善されました。また、デマルチプレクシングにより、コンテンツの個々のトラックをより詳細にコントロールできるようになり、別のトラックに切り替える際にレスポンシブな視聴体験を実現します。
メディア暗号化の強化
Fastly で HLS (Envelope/AES-128 と SAMPLE-AES の両メソッドをサポート) と MPEG-DASH (ISO/IEC 23001-7: ISO ベースメディアファイル形式のファイルの一般的な暗号化) にパッケージ化されたビデオを ClearKey ストリーミング形式に暗号化できるようになりました。これは、各ビデオに一意のコンテンツ暗号化キーを生成して行われ、視聴者に安全なビデオ配信を提供します。これらの新しい機能により、保存時暗号化機能をさらに拡張し、Digital Rights Management (DRM) などの高度な機能をサポートする基盤を築きます。
TLS のバックエンドサポート
Fastly の OTFP サービスはこれまで、HTTP に対応するあらゆるストレージサービスに保存されているプログレッシブダウンロード対応のソース mp4 ファイルのリクエストをサポートしてきました。これには、AWS S3 や Google Cloud Storage (GCS) のプライベートバケット用の認証トークンの送信も含まれます。今回、そのサポートを拡大して TLS 暗号化を使用するビデオダウンロードに対応し、高品質で価値の高いコンテンツをより安全に配信できるようになりました。
柔軟性に優れた HLS 配信オプション
HLS 配信には、マニフェストファイル、オーディオ/ビデオセグメント、メディア暗号化キーの配信が含まれます。これらのリクエストは HTTP または HTTPS を介して実行できます。メディア暗号化キーを提供するために、セグメントと同じプロトコルの使用を強制する代わりに、使用する必要があるプロトコルに関わる依存関係を排除しました。これにより、HLS の各リクエストについて HTTP または HTTPS のいずれを使用するかを独立して設定できるようになり、ビデオ配信のプロセスをより詳細かつ柔軟にコントロールし、またセグメントの安全性を確保できます。
ルーティングプラットフォーム
Fastly の DNS ルーティングプラットフォームを拡張し、POP または DNS リゾルバーに基づいてカスタマイズしたルーティングを実行できるようになりました。POP のオーバーライドでは、ある POP から別の POP へのトラフィックをルーティングできます。たとえば、南米からのトラフィックをすべて米国にルーティングしたり、米国と EU の POP からのみサービスを提供したりできます。また、リゾルバーのオーバーライドでは、クライアントが使用している DNS リゾルバーに基づいてトラフィックを移動できます。Fastly はリゾルバーのオーバーライドによって、Anycast を使用する OpenDNS や Google Public DNS など人気の高いパブリック DNS リゾルバーからのトラフィックをルーティングし、これらのリゾルバーから離れた場所にあるクライアントへの配信におけるレイテンシを削減しました。
コミュニティの最新情報
イベント
今四半期、Fastly は以下のイベントに参加しました。
eTail East : 東海岸で開催されるマルチチャンネルと e コマースに関する主要カンファレンスです。Fastly はこのイベントのスポンサーを務め、出展しました。
New York Web Perf Meetup : Fastly はこのミートアップのゴールドスポンサーです。8月に Fastly の CTO、Tyler McMullen が ロードバランシング について、その翌月に VP of Technology、Hooman Beheshti が Web パフォーマンスの未来 について講演を行いました。
Google Next Tokyo : パフォーマンス主導のスケーラビリティと Fastly のクラウドアクセラレーターについて説明しました。また、パートナースペースでは洗練された新しいデモ体験のプレビューを行いました。
IBC : エンターテインメントおよびニュース向けコンテンツの制作、管理、配信を担うプロフェッショナルが世界中から集う主要年次イベントです。Fastly はアムステルダムで開催されたこのイベントの複数のミーティングでホスト役を務めました。
Denver Startup Week : 今年で5回目となる年次イベント Denver Startup Week のスタートアップクロール (スタートアップ企業への訪問ツアー) では、デンバーに拠点を持つ最もホットなスタートアップ企業の多くが参加し、Fastly もその1つでした。
Velocity New York : 今年の Velocity では、大きな成功談、価値のある失敗談、具体的な技術ソリューションなどのさまざまなストーリーが語られました。Fastly の VP of Technology、Hooman Beheshti が HTTP/2について、CTO の Tyler McMullen が分散型システムの原則について講演を行いました。
New York Video Tech Meetup : Fastly の Product Manager for Video、Ashok Lalwani が Fastly のオンザフライパッケージプロダクトについて講演を行いました。この講演のビデオは
こちら から視聴できます。
DrupalCon Dublin : ヨーロッパ最大の Drupal のイベントです。Fastly の VP of Technology、Hooman Beheshti が誰も教えてくれない HTTP/2の秘密について講演を行い、VP of Ops の Lisa Phillips が DevOps に関するパネルディスカッションに参加しました。
Fastly のエンジニアは、他にも Surge、Full Stack Fest (ビデオはこちら)、Ruby Kaigi、Golang UK、VarnishCon (ビデオはこちら) にて講演を行いました。
Fastly が参加した会議や今後参加予定の会議については、イベントページをご覧ください。
Fastly が支援するオープンソースプロジェクト
Fastly では、自社のサービスを無償提供することでオープンソースプロジェクトをサポートしています。以下は Fastly がサービスの無償提供を開始したプロジェクトの例です。
Fastly のサービスが貢献できるオープンソースプロジェクトがある場合は community@fastly.com までご連絡ください。また、コミュニティフォーラムにアクセスして、Fastly のエンジニアや Fastly の他のお客様に質問することもできます。