人間以外のユーザーが正規の顧客になるとどうなるでしょう?
Fastly のネットワークでも、AI システムによって生成されるトラフィックの割合が増えています。そしてそれらのシステムの中には実際のユーザーに代わって行動するものもあります。情報を取得したり、選択肢を比較したり、在庫状況を確認したり、質問に答えたり、自律的にタスクを完了したりするのです。
またこの傾向は現在、加速が見られます。2026年1月から2026年5月にかけて、Fastly では AI によるリクエストが約30%増加したことを確認しました。この増加ペースは同期間中の人間によるトラフィックの約6.5倍に及んでいます。Fastly のプラットフォーム全体でも、クローラー、ボット、エージェント、API ベースのシステム、その他のマシンによって開始されるインタラクションなど自律的なマシン間のトラフィックが、すべてのインターネットリクエストの半分近くに達しつつあります。
しかし従来のインターネットの土台にあるインフラストラクチャは、このような用途を想定して設計されてはいません。これまで長年にわたり、自動化トラフィックはデフォルトで敵対的なものとして扱われていました。ボットといえば、スクレイピング、詐欺、クレデンシャルスタッフィング、在庫の買い占め、あるいは不正利用を意味していました。大半の場合、人間以外の動作は悪意あるものであったため、セキュリティシステムは人間以外の動作をブロックする方向で進化してきました。
ところが現在は、その境界線を引くことが難しくなってきています。顧客に代わってホテルの料金を比較したり備品を補充したりする AI エージェントは、単に実際のユーザーの代わりをする存在にすぎません。決済認証情報を保持し、自律的に取引を完了する権限を付与されている場合もあります。しかし、それがWebサイトに到達した場合、企業が何年もかけてその除外を試みてきた自動化トラフィックとまったく同じように見えることが少なくありません。
つまり企業には、どの自動化にアクセスを許可すべきかを判断する優れた方法が必要になるということです。
Fastly と Skyfire は、企業がまさにそれを実現する支援をし、どの AI エージェントが正当なものかを検証してからサービスやコンテンツ、取引へのアクセスを許可できるようにしています。
Fastly と Skyfire がどのようにエッジで信頼できるエージェンティックコマースを実現しているのか、ぜひご覧ください。
Skyfire が、AI エージェントを識別し、その信頼性を判断する助けに
Skyfire は、AI エージェントおよびそれらをホストするプラットフォームに現在欠けている2つの要素、つまり検証済みのアイデンティティと決済の可否という2つを提供するエージェント型コマースインフラストラクチャです。
アイデンティティ面では、Skyfire は Know Your Agent (KYA) 認証情報 (標準の JSON Web トークンとしてエージェントに帯同するトークン化されたアイデンティティ) を発行します。KYA トークンは、マーチャントやサービスプロバイダーに対して、エージェントが誰であるか、それがどの個人や組織を代表しているのか、それが Skyfire の登録プロセスを通じて検証済みであるかどうかを伝えます。このデザインは、Know Your Customer (KYC) や Know Your Business (KYB) といった確立されたコンプライアンスフレームワークから着想を得ており、運転免許証や法人設立書類を持たないアクターのクラスに適応させています。
決済面では、ステーブルコインとトークン化されたクレジットカードの両方をサポートするウォレットを提供することで、エージェントがリアルタイムで決済を完了できるようにしています。Skyfire の認証情報を保有するエージェントは、購入時に人間がクレジットカードを取り出すことなく、標準的な eコマースのフローで支払いを完了したり、呼び出し単位で API のアクセス料金を支払ったり、少額決済を行ったりすることができます。
サービスを提供する側の企業には、Skyfire は、予算を与えられた責任あるエージェントと匿名の自動化プログラムとを区別するための検証レイヤーを提供します。パブリッシャー、マーチャント、データプロバイダーは、既存の Web インフラストラクチャやセキュリティコントロール、認証レイヤーを通じてエージェントのトラフィックを受け入れることができるため、プラットフォームの再構築は必要ありません。
Fastly が可能にする、信頼に足るエージェントトラフィック
AI エージェントには多くの場合、厳しい実行期間が設定されています。例えば複数の小売店を対象に在庫を確認するショッピングエージェントの場合、在庫の変更や特定の料金の対象期間が終了する前に、複数のシステムを同時に評価する必要があることもあります。中央集約型システムにラウンドトリップを新たに導入すると、急速に大きな規模で増大するレイテンシがもたらされてしまいます。
Fastly のプラットフォームデータには、AI トラフィックはオリジンインフラストラクチャからの最新データを必要とする可能性が人間のトラフィックよりも大幅に高いこと、そのためエッジにより近い場所で拡張可能な対策をとる必要性が高まっていることが示されています。
エージェントによるトラフィックが増加するにつれ、オリジン中心の実行モデルはますます高コストになり、拡張も困難になります。そこで重要になるのが、エッジインフラストラクチャです。
Fastly のセキュリティプロダクトは、月間8兆件を超えるリクエストを検査し、13万件以上のアプリケーションと API を保護しています。Skyfire は、自社のアイデンティティおよび決済に裏付けされた認証情報を Fastly のプログラマブルな Edge Cloud Platform と統合させています。これにより、リクエストがオリジンインフラストラクチャに到達する前に、Fastly のグローバルに分散された配信拠点においてエージェントの識別と決済の検証を行うことが可能になっています。
この統合により以下のような実行モデルがサポートされます。
マーチャントは、検証済みのエージェントによるプロダクトカタログへのアクセスや購入を許可しつつ、未検証のエージェントのトラフィックをレート制限できます。
パブリッシャーは、有効な支払い資格情報を持つエージェントにコンテンツへの完全なアクセス権を付与する一方で、資格情報のないエージェントをペイウォールにリダイレクトできます。
データプロバイダーは、エージェントリクエストの量と頻度に基づいて階層型の料金を適用でき、実行においてはエッジで自動対応できます。
いずれの場合も、企業は自社のポリシーに対する完全なコントロールを維持できます。Skyfire が提供するのはアイデンティティと決済シグナルです。Fastly が提供するのは実行環境です。企業はそれらを活用してどのようなアクションを行うかを決定します。
Fastly に Skyfire を実装するには
Skyfire の KYA プロトコルは、JWT、OAuth2、JWKS などの標準的な Web インフラストラクチャ上に構築されているため、Fastly のプラットフォームですでに対応している HTTP リクエストのライフサイクルにネイティブに適合できます。独自の SDK やミドルウェアレイヤー、個別の API ゲートウェイは必要ありません。
すでに Fastly Compute をご利用のお客様の場合は、エンジニアリングプロジェクトというよりも設定変更で、Skyfire で検証されたエージェントトラフィックを有効化できます。Skyfire は、KYA トークンと Fastly Compute を使用してエージェントのアイデンティティを検証し、保護対象のコンテンツや API へのアクセスをエッジでコントロールする方法を示すリファレンス実装を開発しました。この実装は、信頼できるエージェントトラフィックに関心のある Fastly のお客様向けに、オープンなリファレンス実装として提供されています。
Skyfire の Fastly Compute デモリポジトリにアクセスし、README ファイルの手順に従ってください。
このガイドでは、Skyfire API キーの作成、買い手アカウントおよび売り手アカウントのオンボーディング、Fastly Compute アプリケーションのデプロイ、KYA トークンの有無によるリクエストのテストまでのステップが詳しく解説されています。



